日本のインデックスファンドに長期投資するときに、TOPIXにするのか日経平均株価にするのか迷ってしまうと思います。
そこで今回は私なりの考えで、長期投資でどちらを選択するべきかを解説します。
結論から申し上げると私はTOPIXをおすすめします。
実際に私は日本株式への長期投資はTOPIXのETFで運用しています。
まずTOPIXと日経平均株価の違いについて説明します。
TOPIXと日経平均株価の違い

TOPIXとは東証1部に上場する全銘柄を対象とした株価指数です。
2020年1月時点でおよそ2190銘柄が含まれます。
TOPIXの算出方法は時価総額の加重平均を用いています。1968年1月4日の時価総額を基準の100ポイントとして指数化しています。
- 計算式
算出時点の構成銘柄の時価総額(浮動株を反映した時価総額)/基準時価総額×100
TOPIX構成銘柄(浮動株時価総額上位10社) 2020年3月31日 時点
順位 | 銘柄名 | 構成比率 |
---|---|---|
1 | トヨタ自動車 | 3.67% |
2 | ソニー | 2.06% |
3 | 日本電信電話 | 1.71% |
4 | キーエンス | 1.60% |
5 | ソフトバンクグループ | 1.49% |
6 | 武田薬品工業 | 1.39% |
7 | 三菱UFJフィナンシャル・グループ | 1.38% |
8 | 任天堂 | 1.29% |
9 | NTTドコモ | 1.24% |
10 | KDDI | 1.18% |

日経平均株価とは日本経済新聞社が選んだ日本を代表する225銘柄を対象とした株価指数です。
日経平均の銘柄選定基準
- 市場の流動性が高い
- セクター間のバランスを考慮
- 臨時の入れ替えでは企業の実態を考慮
また毎年10月に定期入れ替えを実施。
経営統合や経営破綻などでの上場廃止、東証2部に指定替えとなった場合、臨時の入れ替えもあります。
日経平均株価の算出は、株価を単純平均したもの
- 計算式
株価(みなし額面換算)の合計 ÷ 除数
日経平均株価構成銘柄(上位10社) 2020年11月20日 時点
順位 | 銘柄名 | 構成比率 |
---|---|---|
1 | ファーストリテイリング | 11.46% |
2 | ソフトバンクグループ | 5.72% |
3 | 東京エレクトロン | 4.54% |
4 | ファナック | 3.46% |
5 | ダイキン工業 | 3.28% |
6 | エムスリー | 2.79% |
7 | KDDI | 2.58% |
8 | テルモ | 2.30% |
9 | 信越化学工業 | 2.14% |
10 | アドバンテスト | 1.98% |
TOPIXと日経平均株価の比較をまとめました。
TOPIX | 日経平均株価 | |
---|---|---|
銘柄数 | 2,100銘柄以上 | 225銘柄 |
選定基準 | 東証1部の全て | 日本市場を代表する銘柄 |
算出方式 | 時価総額加重平均 | 株価単純平均 |
上位10銘柄 | 構成比率の17.01%を占める | 構成比率の40.25%を占める |
大きく異なるのは銘柄数と算出方式、上位10社銘柄の構成比率です。
TOPIXは2100銘柄以上なので分散効果が高く、個々の銘柄の影響が少なく、リスクを抑えられた運用ができると思います。
一方、日経平均株価は225銘柄しかない上に、上位10社の構成比率が40%以上を占めます。大きい株価の銘柄の寄与度が高いため、ファーストリテイリングやソフトバンクグループなどの個別の動きに依存しやすいです。
ただ日経平均株価は選定基準にセクター間のバランスを考慮しているので、6つのセクター(技術、金融、消費、素材、資本財・その他、運輸・公共)に分けてバランスよく投資していることになります。
騰落率の比較
続いて、TOPIXと日経平均株価のチャート用いて、パフォーマンスの違いを見ていきましょう。
- 2011年1月から2020年12月の騰落率比較チャート

TOPIXはオレンジ、日経平均株価は水色で示しています。
最近10年の騰落率チャートです。
様々なメディアでも最近10年の騰落率チャートを示していることも多く、日経平均株価の方がパフォーマンスが良いというのは既知の事実だと思います。
ただ騰落率は始まりを0%とした基準での値動きを示します。つまり、切り取る期間で見え方が異なるので、様々な期間で分析するのが良いと考えます。
- 1991年1月から2020年12月の騰落率比較チャート

最近30年の騰落率チャートです。チャートの雰囲気が変わりましたね。
2つの騰落率チャートからわかること
- 最近はTOPIXよりも日経平均株価の方が勢いがある
- 長期間で見るとTOPIXが上回っていることもある
理由は様々考えられるのですが、TOPIXは東証の現状の制度だと、東証1部に直接上場する場合、時価総額が250億円以上必要と言われていますが、東証2部またはマザーズから東証1部に市場変更する場合には、必要な時価総額は40億円以上と基準が大きく緩和されているようです。
つまり成長の見込みのない企業でも、東証1部という肩書きに何とかしてしがみ付く企業も存在するということです。
そのため時価総額で算出されたTOPIXのパフォーマンスが伸び悩む一つの要因ではないかと考えられます。
また日経平均株価は毎年10月に定期入れ替えも行われるので、これがパフォーマンスに功を奏しているのかもしれません。
ただ、この先の相場は誰も予測できませんので、長期的に見たらTOPIXがまた日経平均株価を上回ることがあるかもしれませんし、このままの勢いで日経平均株価の方がパフォーマンスが良いかもしれません。
長期投資するなら過去のデータだけを鵜呑みにせず、自分の考えも含めて選択すべきだと思います。
東証、市場再編!
東京証券取引所が2022年4月以降、段階的にTOPIXの銘柄選定・新しい算出基準を設定する方向に変わっていくようです。
内容としては
現状、東証1部、東証2部、ジャスダック、マザーズと4市場体制ですが、これをプライム、スタンダード、グロースの3区分に再編されます。
プライムの選定基準は流通株式時価総額が100億円以上となり、流通株式時価総額100億円以下の東証1部上場企業は「段階的ウエイト低減銘柄」として指定され、移行期間をもうけて、段階的にTOPIXの構成比率を低減していく方針です。
東証の市場区分ごとに時価総額100億円以上の企業数をまとめました。(2021年1月21日 時点)
- 東証1部上場企業:1903社
- 東証2部上場企業:158社
- ジャスダック:187社
- マザーズ:160社
プライム市場は2407社ということになるでしょうか。
ただTOPIXの算出については、市場区分とは切り離して構成されるようで、プライム市場とは連動させないという案が出ているので、新TOPIXの内容は未定のようです。
新TOPIXについての見解が書かれている面白い記事がございましたので、一部記載させていただきました。
大和総研政策調査部の神尾篤史次長は、構成銘柄数に上限を設けることが必要だとした上で、米S&P500種株価指数と同等数にするなら、プライムから450社、スタンダードから50社の500社が考えられると話す。努力しないとTOPIXには入れないという状況にすることで企業の「競争」や「企業価値の向上」が促され市場活性化につながるとメリットを強調する。
Bloomberg:TOPIXの基準見直し、思い切った銘柄削減に踏み込むべきとの声 より引用
話が少々脱線しましたが、TOPIXに期待が持てる内容でしたので、取り上げました。
TOPIXと日経平均株価どっちにする?
長期的にということを考慮するならばTOPIXをおすすめします。
理由はTOPIXと日経平均株価の比較にも記載しました。
- TOPIXは銘柄数が多く、リスク分散できる
- 時価総額加重平均で算出されるため、一つの銘柄の寄与率が低い
私自身はTOPIXのETFに長期投資、CFDや先物などで短期、中期的に日経平均株価で運用しています。
長期的にTOPIXで地道に積み上げ、日経平均株価で大きいリターンを短期的に狙ったり、下落局面においては空売りなどをして、リスクヘッジするようなイメージです。
また2022年以降、東証市場再編を受けTOPIXへの期待が持てるというのも、理由の一つです。
TOPIXと日経平均株価、両方投資する?
結局のところ選べないから両方に長期積立投資したらいいんじゃないか。
結論、意味ないです。
理由は簡単でTOPIXの中に日経平均株価の銘柄が含まれているからです。
また相関係数で見ると判断しやすいです。
以前の記事で分散投資のリスク低減と相関係数について書いてあるので、合わせて読んでみてください。
日経平均株価とTOPIXの相関係数

ほぼ100%連動です。
分散投資というのは、全く違う値動きの資産を持つことであって、リターンの幅の違いで持つことに優位性はありません。
私はあくまで時間軸の違いで異なる金融商品を扱うことによって長期的にTOPIX、短期的に日経平均株価に投資しているのです。
おすすめ銘柄
それではTOPIX、日経平均株価を対象としたおすすめのETFと投資信託をそれぞれあげます。
- TOPIX
種類 | 銘柄名 | 信託報酬 | 純資産総額 |
---|---|---|---|
ETF | 1306:NEXT FUNDS TOPIX連動型上場投信 | 0.0968% | 14.8兆円 |
投資信託 | ニッセイTOPIXインデックスファンド | 0.154% | 342億円 |
- 日経平均株価
種類 | 銘柄名 | 信託報酬 | 純資産総額 |
---|---|---|---|
ETF | 1321:NEXT FUNDS 日経225連動型上場投信 | 0.198% | 8.0兆円 |
投資信託 | ニッセイ日経平均インデックスファンド | 0.154% | 173億円 |
TOPIXであれば、ETFが低コストでおすすめです。
日経平均株価であれば、純資産総額の大きいETFかコストの安い投資信託どちらでも良いと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
銘柄数の多さによるリスク分散ができ、時価総額加重平均からの算出により個々の銘柄による寄与度の低さ、新TOPIXへの期待。
以上の点から私がおすすめするのはTOPIXです。
投資に正解はありませんので、TOPIX、日経平均株価、双方どちらにもメリット・デメリットはあります。
ただ他者が言っていることばかりを鵜呑みにして、理解しないままに自分の考えを取り入れず、投資をすることは間違いです。
私の意見を参考に、ぜひ自身の投資スタイルや考え方に合わせて、投資先の決定を行って頂ければと思います。
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