私は投資信託や国内、米国ETFを駆使して長期的に分散投資をしていますが、全世界株式と先進国株式の投資信託を買っていません。
私のアセット・アロケーションの株式の部分においてSBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンドがメインとなります。
今回は私が全世界株式と先進国株式の投資信託を買わない理由を記事にまとめました。
結論からいいますと、全世界株式や先進国株式の投資信託を購入してもS&P500に投資しているため、有効な分散にならないと考えるからです。
その判断基準は相関係数を用いています。
相関係数
以前の記事で相関係数について触れていますので、合わせて読んでいただけたら嬉しいです。
相関係数とは-1から+1までの数値で表したもので、相関係数が-1に近づくほど、反対の値動きを表し、リスク低減効果が期待できます。
また0付近では異なる値動きを表し、+1では値動きが連動していることを表しています。
つまり長期間0.5から1で推移している場合は分散する意味がないと言えます。
S&P500(米国ETF:VOO)との相関係数
それでは全世界株式と先進国株式の代表的な投資信託それぞれの組入比率とVOOとの相関係数を見ていきましょう。
- eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)
対象ファンド:MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース)
組入上位10カ国・地域(2020年12月30日現在 月次レポート)
順位 | 国・地域 | 比率 |
---|---|---|
1 | アメリカ | 55.0% |
2 | 日本 | 6.7% |
3 | イギリス | 3.5% |
4 | ケイマン諸島 | 3.1% |
5 | フランス | 2.8% |
6 | カナダ | 2.6% |
7 | スイス | 2.5% |
8 | ドイツ | 2.4% |
9 | オーストラリア | 1.8% |
10 | 韓国 | 1.7% |
アメリカが55%を占めています。
同じ対象ファンドの米国ETF:ACWIとVOOの相関係数
投資信託は長期運用前提だと思いますので月足チャートで比較しました。
チャート下部に赤い山と谷を示しているのが相関係数となります。
チャートからほとんどの期間で0.7から0.99を推移していて、相関性が高いことがわかります。
- 楽天・全世界株式インデックス・ファンド
対象ファンド:FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス(円換算ベース)
組入上位10カ国(2020年12月30日現在 月次レポート)
順位 | 国・地域 | 比率 |
---|---|---|
1 | アメリカ | 57.3% |
2 | 日本 | 7.2% |
3 | 中国 | 4.8% |
4 | イギリス | 4.0% |
5 | フランス | 2.7% |
6 | カナダ | 2.6% |
7 | スイス | 2.4% |
8 | ドイツ | 2.4% |
9 | オーストラリア | 2.0% |
10 | 台湾 | 1.8% |
アメリカが57.3%を占めています。
同じ対象ファンドの米国ETF:VTとVOOの相関係数
組入比率が少し違うだけなので、eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)とほとんど変わらないですね。
- eMAXIS Slim先進国株式インデックス
対象ファンド:MSCIコクサイ ・インデックス(配当込み、円換算ベース)
組入上位10カ国(2020年12月30日現在 月次レポート)
順位 | 国・地域 | 比率 |
---|---|---|
1 | アメリカ | 68.6% |
2 | イギリス | 4.4% |
3 | フランス | 3.6% |
4 | カナダ | 3.3% |
5 | スイス | 3.1% |
6 | ドイツ | 3.0% |
7 | オーストラリア | 2.3% |
8 | オランダ | 1.5% |
9 | スウェーデン | 1.1% |
10 | 香港 | 1.0% |
アメリカが68.6%を占めています。
同じ対象ファンドの国内ETF:MAXIS 海外株式(MSCIコクサイ)上場投信とVOOの相関係数
2016年9月から2016年12月までは0を少し割っている期間もありましたが、ほとんど0.85以上で相関率が高いです。
以上3つの例をあげて、チャートに示しました。
相関係数が高い理由はもうお分かりかもしれませんが、全世界株式と先進国株式の投資信託は組入資産の55%から70%がアメリカを占めているため、相関率が高くなってしまうのです。
また世界的にアメリカのマーケットは規模が大きいので、その他先進国の株価もアメリカに連動しやすいことが要因でもあります。
以上のことから私はS&P500に投資をしているため、全世界株式と先進国株式の投資信託を買っていません。
そう。投資信託は買っていません。 ただETFはある銘柄を不定期で買っています。
実は先進国株式をETFで買っている!
相関係数を踏まえた上で、実は先進国株式を購入している銘柄があります。
米国ETFのVEA:バンガードFTSEディベロップド・マーケッツETFです。
対象ファンド:FTSE 先進国(除く米国)
信託報酬[税抜き]:0.05%、純資産総額:およそ8兆円
そうです!先進国株式から米国は省いているんです!
また信託報酬も安く、純資産総額も日本円でおよそ8兆円と素晴らしいETFです。
組入上位10カ国
順位 | 国 | 比率 |
---|---|---|
1 | 日本 | 23.7% |
2 | イギリス | 13.0% |
3 | カナダ | 8.6% |
4 | スイス | 8.3% |
5 | フランス | 8.0% |
6 | ドイツ | 7.5% |
7 | オーストラリア | 6.0% |
8 | 韓国 | 4.3% |
9 | オランダ | 3.3% |
10 | スウェーデン | 2.9% |
組入比率は日本が少々高めですが、全世界株式や先進国株式の投資信託と比べ、バランスよく分散されていると思います。
VEAとVOOとの相関係数
米国を含んだ先進国株式の投資信託で示した時とは異なり、谷が多く相関係数に波があります。
先ほども述べたように、先進国株式も米国のマーケットに連動していることも多々あるので、相関係数が0.9付近を推移している期間もありますが、比較的分散効果はあるように思います。
ところでVEAのような米国を除いた先進国株式の投資信託がないのかと疑問に思うんですけど、それがないんですよね。
残念ながら国内ETFでも対象がありません。
また私の知っている限りだとVEA以外に米国ETFでSPDW:SPDR ポートフォリオ先進国株式(除く米国)ETFという銘柄もあります。
米国ETFは高配当なども話題に上がりますが、私は細かな分散ができるのも米国ETFの魅力であると感じています。
ちなみにVEAと楽天・全世界株式インデックス・ファンドの相関係数も見てみました。
相関係数高いですね。
つまりVEAと全世界株式と先進国株式の投資信託も相性は良くないことが言えます。
まとめ
S&P500に投資をしているならば、全世界株式と先進国株式の投資信託を買ったところで有効な分散効果は得られないと考えます。
なぜならば全世界株式や先進国株式の投資信託の組入比率はアメリカが多くを占めており、相関係数が高いからです。
またS&P500に投資をしているならば、米国を除いた先進国株式のETF(VEA or SPDW)は有用であると考えます。
なお全世界株式や先進国株式の投資信託が良くないというわけでなく、分散の観点から私は全世界株式や先進国株式の投資信託を除外しているということです。
つまりアセット・アロケーションの株式の部分では4つのパターンが考えられると思います。
- S&P500の投資信託 or ETF + VEA or SPDW
- S&P500の投資信託 or ETF 1本
- 全世界株式の投資信託 or ETF 1本
- 先進国株式の投資信託 or ETF 1本
もちろん株式の部分には新興国株式も入ってくると思いますので、あとはみなさんの投資スタイルと考えに基づき、私の意見も参考にしていただけたらなと思います。
相関係数はFPの書籍に載っているキーワードですので基礎的なことではありますが、分散投資に関しては非常に重要になります。
また今回私が使用したチャートツールはTrading Viewというもので、無料でブラウザやiOS、Androidアプリをダウンロードして使用できますので、相関係数の表示の仕方など知りたい方は、コメントかお問い合わせからご連絡いただければ、お時間いただくかもしれませんが、回答させていただきます。
よろしくお願いします。
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