今回は、私が実際に利用しているインジケーターを紹介します。
タイトルにもある通り、オン・バランス・ボリューム(以下OBV)というものです。
日本の証券会社などではOBVを使えるアプリがないと思うので、使用している人は少数な気がしますが、私が好んで使っているツールなので、共有したいと思います。
まず私のトレードの大前提として、ダウ理論に基づいて分析を行なっています。
以前にダウ理論に関しての記事を書いていますので合わせて読んでいただけたら嬉しいです。
ダウ理論の6つの基本原則に「トレンドは出来高でも確認されなければならない」という考え方があります。
これをわかりやすく判断できるようにしたものがOBVになります。
それではOBVについて解説していきます。
OBVとは?
OBVは、テクニカル分析で買い圧力と売り圧力を測定するために用いられます。
OBVは累積データのインジケーターであり、価格が前日終値より上昇した場合には、その日の出来高をOBVの累計に加算します。
反対に価格が前日終値より下落すると、その日の出来高をOBVの累計から引きます。
その差し引き計算した累積データの値をラインとして描画したのがOBVインジケーターとなります。
OBVの基本的な考え方
前提として、始値から終値にかけて上昇した日と下落した日に分かれるため、価格が上昇したを「買いの出来高」、下降した日を「売りの出来高」と定義しています。
これより「買いの出来高」をプラスの出来高とみなし、「売りの出来高」をマイナスの出来高とみなして、差し引きの累計推移をOBVとして表示します。
つまりOBVインジケーターの数値の大小や±はさほど重要ではなく、上昇傾向なのか下降傾向なのかという方向性のみに注目することが重要です。
下記に計算式を載せますが、非常に単純です。
- OBVの計算式
当日終値が前日終値よりも高い場合
OBV = 前日OBV + 出来高
当日終値が前日終値よりも低い場合
OBV = 前日OBV – 出来高
当日終値が前日終値と等しい場合
OBV = 前日OBV
OBVの判断材料
OBVの基本的な3つの判断材料を以下に示します。
1.価格とOBVがともに上昇・下降をしているような場面では値動きのトレンドは強い。
2.価格が高値更新して上昇しているにも関わらずOBVが停滞している場合は、上昇に対して出来高が伴っていないと判断して、先の下落を予想する。
反対に、安値更新して下落しているにも関わらずOBVが停滞している場合は、下落に対して出来高が伴っていないと判断して、先の上昇を予想する。
3.上昇トレンド中ではあるが値動きが弱い時にOBVが上昇している場合、さらなる上昇の期待が持てる。
反対に、下降トレンド中であり、値動きが弱い時にOBVが下降している場合、さらなる下落を伴う場合がある。
文章だけだとわかりづらいので次にチャートを用いてOBVによるチャート分析を説明していきます。
OBVを用いたチャート分析
1.価格とOBVがともに上昇・下降をしているような場面では値動きのトレンドは強い
トレンドの高値安値に対応するOBVの高値や安値に注目することで、トレンドが継続するかどうかやトレンド終了の兆候を見つけることができます。
OBVの基本的な3つの判断材料1番目の内容に当たる部分です。
- OBVの高値安値がともに切り上げる:上昇トレンドの継続
- OBVの高値安値がともに切り下がる:下降トレンドの継続
上昇トレンド相場では、OBVは価格とともに上昇します。
このときOBVの高値切り上げは、価格を押し上げる買いの出来高が増加していることを意味し、OBVの安値切り上げは、上昇トレンドに逆らう売りの出来高が減少していると解釈できます。
またOBVの安値を切り下げた場合は高値圏での売り圧力が強まった可能性があると考えられ、上昇トレンドの継続終了を示唆します。
2.価格が高値更新して上昇しているにも関わらずOBVが停滞している場合は、上昇に対して出来高が伴っていないと判断して、先の下落を予想する。
OBVの基本的な3つの判断材料の2番目の内容に当たる部分です。
このチャートからはややOBVの高値が切り下がっており、株価は高値を切り上げています、これはOBVのダイバージェンス(逆行現象)と呼ばれています。
他のインジケーターであるMACDやRSIなどもダイバージェンスがあるのですが、OBVにもダイバージェンスが発生します。
OBVのダイバージェンスは要するに価格と出来高の乖離と捉え、まさにダウ理論の基本原則である「トレンドは出来高でも確認されなければならない」に反した現象となるのでトレンド終了の可能性を示唆している状況です。
3.下降トレンド中であり、値動きが弱い時にOBVが下降している場合、さらなる下落を伴う場合がある。
- レンジ内でOBVが上昇:レンジ内で買い圧力が強い→上昇ブレイクアウトの発生
- レンジ内でOBVが減少:レンジ内で売り圧力が強い→下降ブレイクアウトの発生
レンジ相場ですが、OBVが徐々に下降し、高値安値を切りさげています。
レンジ内を下にブレイクアウト後、一旦戻してそこから下落に転じていることがわかります。
この状況で万が一レンジ内を上にブレイクしたとしても騙しとなり、そこから一気に下落してポジションをつかまされる可能性があるので注意が必要なパターンです。
いろんな使い方できるOBV!
・株価だけでなく、OBV自体にもトレンドラインを引く
チャートを見てわかる通り、下降ブレイクアウトを上昇ブレイクアウトも株価のトレンドラインより、OBVのトレンドラインの方が早く察知できています。
・チャネルのブレイクアウトを見極める
この下降チャネル内のOBVは下落することなく徐々に上昇しています。
チャネル内部では価格を下げようとする売りの出来高が少ないことを示唆しています。
このようにチャネル内部の売り圧力が弱い場合、チャネルの上方向へのブレイクアウトで売り方の抵抗が弱く、上昇に転じやすいです。
その他にも色々な分析ができるんですが、なかなかいいチャートが見つけられませんでしたので、見つかり次第更新します。
OBVが利用できるチャートツール
私の知っている限り、国内証券会社のアプリでは見たことがありません。
しかし最近、ユーザーも増えてきているTrading ViewやMT4などで表示することができます。
ちなみに私はTrading Viewユーザーです。
Trading ViewはアプリでもPCブラウザーでも使いやすく、端末間で共有できるので、非常におすすめです。
CFD、先物、為替、暗号資産や米国株式はもちろんのこと、ディレイは生じますが国内株式も確認することが可能です。
まとめ
私のトレードの基本はダウ理論に基づいて考え、分析をしています。
そのため、出来高は非常に重要視しています。
MACDやRSIなどは使用せず、ローソク足と平均線、そして出来高とOBVのみです。
出来高のみだと、シンプルにその日の取引量しか確認することができませんが、OBVを利用することで出来高の伴ったトレンドなのか騙しとなる動きなのか出来高におけるチャート分析の視認性が高まります。
RSIを批判するつもりはないですが、経験的に述べますと、買われ過ぎの段階でもさらに上昇したり、売られ過ぎのシグナルであっても、さらにずるずる下げることもしばしば。
やはり「トレンドは出来高でも確認されなければならない」が響きます。
今回紹介したOBVは計算もシンプルなので使いやすいテクニカル指標です。
しかし利用できるツールが限定的なのが残念ですが、もしTrading Viewユーザーであれば一度試して欲しいインジケーターですので、是非!!!
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